お姉さんに頼まれたのでティッシュを取る
ああ、そうか、こういうとこにも気を付けないと
お姉さんがティッシュで俺の精液を拭き取った
「こうせんと布団が汚れてまうからな」
「もう今日はこのまんま寝よ」
お姉さんが裸のまま抱きしめてきて
足も絡めてくる
それはつまりお姉さんの胸があたり
太ももにお姉さんの性器があたり
俺の性器も擦れるということで
「おお、もう復活したん」
「いえ、大丈夫です」
「……ええよ、いっぱいしよか」
結局、寝るまでに後三回した
合計すると五回も数時間で出したってことになるわけだから
若いって凄いな、と思う
545 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:04:06.55 ID:x60gR+VC0
翌日
昼過ぎに起きた俺はお姉さんに黙って部屋の掃除を始めた
トイレ、お風呂、玄関、物置、キッチン、リビング
最期にお姉さんの部屋
「……なにしとん?」
「掃除。お世話になったので」
「生真面目やな、ほんま。こっちおいで」
「はい」
寝転がっているお姉さんの横に行くと、頭を撫でられた
ええこやな、といつも口調で
嬉しかったからお姉さんの頭を撫で返す
ええこやな、とお姉さんを真似て
「……関西弁へったくそやな」
「そうですか?」
「なんかイントネーションがちゃうわ」
「難しいですね」
「今のまんまでええよ」
「君は君のまんまでええよ」
「はい」
お姉さんが仕事の支度を始めたら帰るのはもうすぐだ
家に帰ったら両親は怒るのだろうけど、どうでもいい
それだけ価値のある人に出会えた
「行こか」
それには答えられずただ
引かれた手に連れられて外に出る
549 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:10:57.84 ID:x60gR+VC0
家を出て近くの駅へ
そこから都会の駅まで僅か十分
お姉さんはずっと手を繋いでてくれた
お姉さんの手はとても暖かった
白状するけど俺は既に泣いていた
声を殺して
俯いて
泣いていることを悟られずに泣いていた
きっとお姉さんはお見通しだったろうけど
都会の駅に着く
俺の家はここから本当に遠い
「暫くのお別れやな」
「ありがとうございました」
「今度はいつ来る?」
「夏にでも来ます。速攻バイトして、お金貯めて」
「そっか。ほんじゃ、待っとくわ」
「あの、これ」
「ん?」
「携帯番号です。電話、くださいね」
「うん、電話するわ」
嫌な予感しかしなかった
今ここでお姉さんの手を離したら
二度と会えなくなるような気がした
「お姉さん」
「ん?」
「ごめんなさい」
「なに謝っと……」
俺よりも身長の高いお姉さんの
肩を掴んで引き下げて
無理矢理キスをした
そこはまだ駅のホームで人目がつく
長い時間のように思えて
それは一瞬のことだった
550 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:15:03.18 ID:x60gR+VC0
「強引やな」
「ごめんなさい」
「嫌いちゃうけど」
「すみません」
「お返しっ」
今度はお姉さんの方からキスをしてきた
その時間は本当に長かった
二分、三分?
お姉さんは白昼堂々と舌を入れてきて
人目も気にせずに没頭した
俺もなんだかだんだんどうでもよくなってきて
人目よりもなによりも
お姉さんの気持ちに応えたくて
だってお姉さんは俺よりもずっと大人で
お姉さんはとても綺麗な人で
BARの店長とか格好良い職業で
モテないわけがない
こんな一瞬、奇跡に違いない
夢でないことがいい証拠だ
だからきっとお姉さんは俺を忘れる
俺はいつまでもお姉さんを忘れられないだろうけど
「大好きです」
「うちもやで」
「また来ますから」
「うん」
「絶対に来ますから」
涙が止まらない
この約束が嘘になると思ってしまって
ずっと涙が止まらない
553 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:19:28.65 ID:x60gR+VC0
電車が来る
お姉さんが微笑む
俺の頭を撫でる
俺は泣きじゃくったただのガキで
駄々をこねるただのガキだ
電車が扉を開ける
中に入る
泣くなや、男の子やろ?
扉を締める合図が響く
お姉さんが僕を抱きしめる
ほんまに
ぎゅうっと強く、抱きしめる
ほんまに
車掌の警告が響く
大好きやで
けたたましいサイレンが鳴る
ありがとう
お姉さんが離れる
ドアが締まりかけた頃合で
お姉さんは快活に微笑んだ
目尻に込めた涙を無視して
「バイバイ」
と
別れの言葉を口にした
556 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:22:16.12 ID:x60gR+VC0
家に帰ると鬼の形相をした両親に迎えられた
がーがー怒っていたけど、なぜだろう
俺はそれがとても嫌だったのに、ふと思った
二人も子供なんだろうな、って
お姉さんがお姉さんだったように
お姉さんだけどお姉さんじゃなかったように
大人だって子供なんだな、って
「俺さ、二人が喧嘩するのが嫌で家出したんだよ」
そういうと二人は黙ってしまった
喧嘩の原因ってなんだろう
考えてみれもどうでもいい
頭の中でお姉さんが離れない
お姉さんがいつまでもそこにいる
お姉さんは、そこにいるけど
俺の携帯はいつまでも鳴らなかった
558 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:25:32.17 ID:x60gR+VC0
高校に無事入学して、夏
バイトをしてお金を貯めて、お姉さんに会いに行く夏
だけど、相変わらずお姉さんから着信は来なかった
学校の友達もできた
好きな人はできなかったけど
というか
お姉さんを知って他に好きになれるとか、無理だろう
結局、俺はお姉さんに会いに行かなかった
臆病だったから?
不安だったから?
答えはまあ、三年後
559 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:26:40.60 ID:x60gR+VC0
ってなわけで書き終えたぞ
釣りかどうかとかよく話題に上がってたけど
それってそんなに大事なのかな
釣り成分は30%だ
で、続きあるけど知りたい?
571 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:28:57.69 ID:x60gR+VC0
こっからはあんまり長くならないように書きたいが
難しいな
今までの見てわかるとおり無駄に長くなるから
まあ、じゃあ、書いてく
因みに30%の成分は主に会話な
出来事は事実なんだが、そこまで会話を詳細に覚えてたら俺は化け物だろう
591 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:39:00.41 ID:x60gR+VC0
三年後
高校を卒業してそのまま働くと伝えたら両親は落胆していた
因みに俺の家出が切欠か、あれ以来二人は不仲が解消したようだ
少なくとも家で喧嘩はしていない
しかも勤め先を遠くに選んだから余計だ
理由を問われたけどその街が好きだからとしか言えなかった
就職はまあ、なんとかなった
高卒なためいいところとは言えんが選ばなけりゃなんとでもなる
家も決めて、一人暮らしの段取りをしつつ
三月に入って俺は学校に行くのをやめた
あとは卒業式以外どうでもいいわけだし
それよりもなによりも俺にはやることがある
家を探す時や就活の時に訪れているわけだが
改めて来てみると不思議な感覚に襲われた
あの都会の駅の前にある広場はどうにも健在らしい
そこのベンチでぼうっと座っていると、お姉さんが
なんてことは流石にない
暫く佇んで、お姉さんを探すべく歩き出す
といっても行く先なんて決まっている
あのBARとマンションしか知らないんだから
597 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:44:16.72 ID:x60gR+VC0
夜の八時過ぎ
あのBARが開いている時間帯だ
こうして見ると怪しい雰囲気だな、と思った
お姉さんに連れられた三年前は気づかなかったが、これは一人で入れんと思った
ドアを開けるとベルが鳴る
店の看板とかなにもないから不安だったけど、BARはまだやっているらしい
中に入るとお客さんは一人もいなかった
でも、一人だけ、その人はいた
赤く長い髪の
綺麗なお姉さん
「こんにちわ」
「らっしゃーい」
どうやらお姉さんは俺の存在に気がついていないようで
これはこれで面白いと俺は自分を明かさなかった
まあ、なんだかんだで
今ではお姉さんより身長も高いしなあ
606 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:49:47.32 ID:x60gR+VC0
三年経ってもお姉さんはお姉さんだった
綺麗ですっとしていてモデルみたいで
大人の色気が増したと言えばいいのか
しかし十八の俺に大人の色気はよくわからん
「お客さん、初めてだよね?」
「ですね」
「なんでこんな見つけづらいとこに」
「友達に聞いたんですよ。真っ赤な髪のマスターがいるBARがあるって」
「ああ、これ。ははっ、もういい年なんやけどねー」
「でもとってもお似合いですよ」
「あざーす。いや、なんか照れるわー」
「どうして赤髪なんですか?」
「これ? これな、むっかあああああしの知り合いに褒められてなー」
死んでしまった人のことだろうか
「大切な想い出なんですね」
「いやそんなんどうでもええねんけどな、今となっては」
「?」
「ぷっ」
「どうしました?」
「いや、そんでなー」
「この赤い髪を綺麗ですね、って褒めてくれたガキンチョがおんねん」
「ガキンチョ」
「そうそう。そいつな、うちに惚れとるとかいいよったくせにな、くせにやで? 携帯番号ちゃうの教えて帰ってん」
……うそん
629 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 03:56:36.46 ID:x60gR+VC0
「連絡ください言うた割に連絡通じへんやん? どないせーってのな」
「そ、それはそれは」
冷や汗が沸き立つ
まじで? それで連絡こなかったの?
「会ったらほんまどつきまわしたらなあかんなあ」
迂闊に名乗れなくなった
「そ、それと赤髪がどういう?」
「ん? やからさ、あのアホンダラが戻ってきた時、うちのトレードマークがなかったら気づかんかもしれんやん?」
「そんなこと……」
ありえて嫌だ
お姉さんの赤髪とピアスは凄い印象強いから
「ところでお客さん、なに飲む?」
「おすすめのカクテルを」
「いや無理やわー」
とお姉さんはドン、っと机が揺れるぐらいの勢いでコップを置いた
「自分みたいなガキンチョにはこれで充分やろ?」
それはいつか出されたジュースだった
「……はは」
「ははっとちゃうわドアホ! いつまで待たせんねんおばはんにする気かおどれぁ!」
「あ……バレてました?」
「バレバレや言うねん! 君身長高くなっただけで顔つきほとんど変わってないやんけ可愛いわボケぇ!」
「可愛いなんて、もうそんな年じゃないですよ」
「そこだけに反応すんなアホ! 首傾げる仕草もなんも変わってないいうねん……」
唐突にお姉さんは体を背けて顔を隠す
ああ、お姉さんも変わってないな
642 : 名も無き被検体774号+ : 2013/03/20(水) 04:02:58.75 ID:x60gR+VC0
「どんだけうちが待っとったおもてんねん……」
ふるふると震える肩
いつもそうだった
お姉さんは弱味を俺に見せたがらない
恥ずかしい時も
哀しい時も
苦しい時も
顔を背けてそれを隠す
椅子を降りてカウンターの中に入っていく
土台が同じ高さになったため、俺はお姉さんよりも大きくなった
「ほんま、背高くなったなあ」
「牛乳飲んでますから」
「……君ええボケ言うようになったやん」
「そりゃお姉さんと一緒になるの、夢見てたんで」
「タバコは?」
「身長伸びませんから」
「迷信やろ」
「プライバシー効果ですよ」
「プラシーボ効果やろ」
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